日本財団 図書館


 

五、 使用停止命令
危険物施設の所有者等に次に掲げる義務違反があった場合、市町村長等は消防法第一二条の二第一項並びに第二項に基づき当該危険物施設に対し、期間を定めて使用の停止を命ずることができる。
(一)許可を受けないで、危険物施設の位置、構造及び設備を変更したとき。
(二)完成検査の前に危険物施設を使用したとき。
(三)危険物施設の位置、構造及び設備の基準維持命令に違反したとき。
(四)保安検査の規定に違反したとき。
(五)定期点検の規定に違反したとき。
(六)危険物の貯蔵又は取扱の基準維持命令に違反したとき。
(七)危険物保安統括管理者を選任しないとき又は選任しても保安に関する業務を統括管理させないとき。
(八)危険物保安監督者を選任しないとき又は選任しても取扱作業に関して保安の監督をさせないとき。
(九)危険物保安統括管理者及び危険物保安監督者に対する解任命令に従わないとき。
?@使用の停止の意義
「使用の停止を命じる」とは危険物施設について、その本来の用途である危険物の貯蔵又は取扱の用に供することを禁止する旨の命令を発する意味であって危険物施設を全面的に閉鎖させる旨の命令を発することまでを認めるものではない。
したがって、使用停止命令の対象となっている危険物施設について危険物の貯蔵、取扱等に無関係な使用をすることはさしつかえない。
?A使用停止の期間
使用停止命令は、期間を定めて行う必要がある。期間の定め方はいろいろ考えられるが、明確に定める必要があり、「○年○月○日から○年○月○日までの間」とする方法がよい。「安全が確認されるまでの間」といった期間の定め方は、「安全」な状態とはいかなる状態がといった根本的部分の概念が明確とは言えず、期間が行政庁の恣意的判断にまかされる恐れがあり適当でない。
使用停止命令は、定めた期間が終われば効力を失うが、その期間中に違反が是正されないときは再度命令を行うことができる。なお、期間途中であっても違反が是正された場合には、市町村長等はただちに使用停止命令を撤回すべきである。
?B使用停止命令違反
使用停止命令に違反して危険物施設を使用した所有者等に対しては罰則の適用がある。

 

六、 緊急時の使用停止等
消防法第一二条の三は、市町村長等に対して、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため、緊急の必要があると認めるときに、危険物施設の所有者等に対し、当該危険物施設の使用の停止又は使用の制限を命じる権限を与えている。
この命令は、石油コンビナートなど複雑、大規模な危険物施設の出現を背景に、緊急の事態が発生した場合の市町村長等の措置権限を強力にしたものである。
(一)命令の発動
この命令は、危険物施設の近隣で火災が発生した場合や、危険物施設又はこれと密接な関連をもつ施設の一部で火災、爆発等が発生した場合に発動することができる。この命令の特色は、命令発動の要件である緊急事態の原因が、命令を受ける危険物施設にあるか否かを問わない点にある。
例をあげれば、ガソリンスタンドに隣接する民家で火災が発生した場合、ガソ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION